前借金相殺の禁止

労働基準法第17条では、前借金相殺の禁止について規定しています。
(労働基準法第17条)
「使用者は、前借金その他労働することを条件とする前貸の債権と賃金を相殺してはならない。」
前借金とは、雇入れ時の労働契約の締結の際、或いはその後に使用者から借金をして、その返済を賃金から行うことを約束する金銭のことをいいます。
また以下の事項についても確認しておく必要があります。
・労働者が使用者から人的信用に基づいて受ける金融、弁済期の繰上げ等で、明らかに身分的拘束を伴わないものについては、労働することを条件とする債権には含まれないものとされています。
・前借金であっても、貸付の原因、期間、金額、金利の有無等を総合的に判断して、労働することが条件となっていないことが極めて明白な場合には、本条の規定は適用されません。
さらに、以下のような判例もありますので確認しましょう。
・毎月支給する金員の半額にも相当するほどの部分は、賃金ではなく所定の契約期間を勤続した場合に支給すべき勤続奨励金を引き当てとする前貸金であり、途中退職する場合にはこれを返還する旨の合意は、労働基準法第5条(強制労働の禁止)、第17条(前借金相殺の禁止)、第20条(解雇の予告)の違反となり、民法90条(公序良俗)に反して無効となります。
・ホステスと契約金、前借金契約を締結することは労働基準法第16条(賠償予定の禁止)、第17条(前借金相殺の禁止)に違反するものではません。
・会社養成所入所時に借りた貸与金を、従業員になれば退職時まで返済を猶予される特約は、第17条(前借金相殺の禁止)に違反するものではありません。
・美容指導を受けて退職する場合は、技術講習手数料を支払う旨の契約は、第17条(前借金相殺の禁止)に違反となります。
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