賠償予定の禁止

労働基準法第16条では、賠償予定の禁止について規定しています。
(労働基準法第16条)
「使用者は、労働契約の不履行について違約金を定め、又は損害賠償額を予定する契約をしてはならない。」
上記のように賠償予定を禁止していますが、使用者が実際に損害を受けた場合に、その損害を与えた労働者に対して損害賠償請求を行うことは当規定とは関係がなく自由とされています。
また、「損害賠償の予定」に関する判例がありますので確認しておきましょう。
・技能検定試験に関する必要費用を立替払いして、合格・不合格にかかわらず、その後に約定の期間内において退職する時は立替払いした費用を弁済し、その期間就労する時はこれを免除する等の特約が以下の全てに該当する場合には、本条に抵触しないとされています。
@その費用の計算が合理的な実費であること
Aその費用が使用者の立替金と解されるものであること
Bその費用の返済によりいつでも退職が可能であること
C返済にかかる約定が不当に雇用関係の継続を強制するものでないこと
・労働契約締結時の合意による、労働者の業務遂行中の事故による第三者への損害賠償金の支払い義務は、現実の損害の発生を要件とし、しかも賠償額の上限を現実の損害額とし、事故態様によっては賠償額の上限を一定額に限定するものである場合には、本条に抵触しないとされています。
・病院の研修規程に基づいて専門研修を受けた医師が、研修終了後5ヵ月半で病院を退職したことによる病院の損害賠償等につき、研修規程は研修終了後の病院勤務義務を定めるが、その期間を明示していなかったことから、その義務の履行は5ヵ月半の勤務で足り、研修中の賃金・費用等の返還請求は本条に抵触することから、医師は賃金・費用の返還及び損害賠償の義務はないとされています。
・企業派遣留学制度による留学学費については、従業員が一定期間会社に勤務したときは返還債務を免除する旨の金銭消費貸借契約が成立し、費用負担は同契約によって決せられ、労働契約の不履行によって費用負担が決まるものではないので、違約金の定め、損害賠償の予定には該当しないとされています。
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