労働契約に関する判例 〜 労働契約の成立

労働契約に関するトラブルは数多く、判例もありますので確認しておきましょう。
【労働契約の成立】
・当事者間に契約内容に関する具体的意思の合致は必要ではなく、ただ当該企業における労働者たる地位を取得する点について意思の合致があれば足りる。
ただし、これに反する判例も存在する。
・人材銀行の紹介による面接の結果、給料や出勤日について話合いがまとまった後に不採用となったとしても、すでに労働契約が成立していたものと認めるのが相当である。
・定年制が設けられていても、職員の採用の際、試用期間を定年の日を超えて設定した場合には、定年の日を超えて雇用する合意がなされたものとすると解される。
・労働条件を引き下げた新契約に応じなければ、従業員の地位を失うと誤信して、アルバイトが新契約の締結に応じたことは、要素の錯誤にあたり無効とする。
・労使間に個別的な労働契約が存在するというためには、明示された契約の形式のみによることなく、当該労務供給形態の具体的実体を把握して、労使間に事実上の使用従属関係があるかどうか、この使用従属関係から両者間に客観的に推認される黙示の意思の合致があるかどうかで決まる。
【採用内定】
(採用内定と労働契約の成立)
・社員募集に応募した学生に対する採用内定通知により、その者の誓約書の提出と相まって、就労の始期を大学卒業直後とし、誓約書記載の事由に基づく解約権を留保した労働契約が成立したものと認める。
・採用内定通知のほかには、労働契約締結のための特段の意思表示が予定されていない本件においては、右通知により始期付の労働契約が成立したと解される。
・採用内定者につき、必要書類の提出による採用試験の受験申し込みが労働契約の申し込みにあたり、会社の発した「採用決定のお知らせ」という通知が右申込みに対する承諾にあたると認められ、当時在学していた高等学校を卒業できないときは解約できる旨の解約権留保付労働契約が成立したものと解される。
・「4月1日付で採用する」旨の採用内定通知にいう「4月1日」は、就労の始期を指すものではなく、見習社員契約の効力発生の日とみるべきである。
・採用内定の通知により、就労の始期を採用内定者が当時在学していた大学卒業直後とする労働契約が成立していたものと認められる。
・社員公募は労働契約申込みの誘引、これに対する受験申込みは労働契約の申込み、受験者に対する書面による採用通知は右申込みに対する承諾であって、これにより契約の効力の発生日を将来の確定日とする見習社員契約の締結があったものと認められる。
・会社が学校卒業予定者を対象に行った求人票による募集は雇用申込みの誘引であり、これに対する応募は右契約の申込みに、会社の採用決定通知は右申込みに対する承諾にそれぞれ該当し、右採用決定通知の発送により両当事者間に条件付の雇用契約が成立したものと認められる。
・採用内定者につき、会社から採用内定の通知がされ、これに対して誓約書を提出した段階において、将来の一定時期に互いに何ら特別の意思表示をすることなく、労働契約を成立させることを内容とする採用内定契約とも言うべき一種の無名契約が成立したものと認められる。
・採用内定通知の発送により労働契約が成立したものとみなされる。
・採用内定は、健康診断による異常等につき解約権を留保した始期付の見習社員契約と認められる。
・現実に出社して辞令の交付を受ける例であっても、合格通知を受けた後、幹部の特別面接、健康診断も済んだ内定者については労働契約が成立していると認められ、その後の採用内定取消しには解雇の要件が必要となる。
・採用内定により解約権留保付き停止条件付き労働契約が成立し、その採用内定を取り消すことは取り消し事由を欠くことから無効となる。
・博士論文執筆のため、採用内定時期前に行った研修を履修できなかった採用内定者の不採用は、不当とされている。
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